【シリーズ:ドールの無償修理】ARTDOLL 148cm Dカップ 第2話 骨格の交換 その1 2022年7月



骨格を取り寄せる


前回、思い浮かんだ3つのアイデアから、

・ドールへのダメージ:切開範囲が広がる、修理中に火災や破損が起きるリスク
・復旧後の完成度:できるだけ出会った頃(新品状態)に近づけたいという思い

を天秤にかけながら検討した結果、「骨格を交換する」という結論に至りました。

そうと決まれば、まずは、工場と骨格のみを取り寄せられるかを交渉してみました。

すると、「後日返事をする」と冷たい回答。。。


骨格は最大限の”機能性”と最小限の”故障のリスク”を両立させる工夫が盛りだくさんのパーツです。

骨格構造、関節数、ボルトの緩み止め対策、溶接方法、軽量化対策などなど、工場の技術力が表れやすい。

工場はこのようなパーツを単体で送ってくれるだろうか? と心配しながら待つこと数日。。。

「今日発送しました。」と一言だけの連絡が入りました。

このあたりは中国人らしい対応。

良くも悪くも、本質的な行動のみ。前後の余計な説明は無し。


そして待つこと2週間。無事に骨格が届きました!
しかも、きちんとボルト、ナット、スリーブ、ワッシャー等一式も付属。

こちらが届いた骨格。


ARTDOLLの骨格用ボルトには、緩み止め対策としてナイロンナットが使われているのですが、ナイロンナットは再利用ができないのです。

また、動作を滑らかにするためにスリーブは高い精度で仕上げられており、同じARTDOLLの骨格でも合わないこともしばしば。

なので、これらをセットで送ってくれるとは、気が利いています。



切開範囲の決定と、骨格の取り出し

次に、骨格を交換するにあたって、ボディの切開範囲にあたりをつけます。

こんな感じでおおよその骨格位置を合わせて決めます。


それではいよいよ切開。


切開にはメス(使い捨て)が、今のところ最も使いやすいです。

※画像をクリックすると、モノタロウの購入ページへ移動します。

相手が柔らかいシリコンでも、スパッと切れます。

過去に工作用のカッターで試したこともありますが、切開面が少しガタガタになったことがあり、以来、メスを使っています。

切れ味が良い分、怪我をしやすいですのでくれぐれもご注意ください。

以下は切開後の写真。


写真では分かりにくいのですが、ARTDOLLの骨格から表皮までは、以下のような複層構造となっています。

内側から、

1. 骨格

2. 薄いビニール (理由:関節部の潤滑油の流出防止、シリコンの巻き込み防止のため)

3. ガーゼ (理由:硬質ウレタンとの接着性を高めるため)

4. 硬質ウレタン (理由:軽量化のため)

5. シリコン表皮


ガーゼと硬質ウレタンはガッチリ接着されていますので、これらをメスを使って丁寧に剥がしていく作業が必要です。

切開範囲が狭い訳ではなかったのですが、上記作業には非常に苦労しました。

特にガーゼとビニールは、硬質ウレタンでガチガチに固まっていますので、なかなか切り離せなかったです。

しばらく根気よく続けると、やっと関節のボルトが見えてきました。


この後、ボルトを緩めていきますが、ご想像の通り、片側から回すとボルトナットが共周りしてしまいますので、反対側も同様に切開しておく必要があります。

「反対側の切開範囲は、レンチが入る隙間だけで良いのでは?」 と思われるかも知れませんが、上述の通り、反対側も同じように骨格をウレタン層から剥がす必要がありますので、同じ範囲を切開することをお勧めします。

そしてようやく、骨折した骨格と関連部品を取り出すことができました。


あとは骨格を交換して接着するのみ、と簡単に考えておりましたが、実はこの後に最大の難所がありました。


次回へ続く。。。


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