皆さま、暑い日々が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
7月10日に無償修理サービス(企画名:出会った頃のように)を発表してから早速、お客様よりご応募がございました。
企画の詳細はこちら ⇨ 新企画:出会った頃のように
Twitterやお問い合わせフォームに、修理の状況を紹介して欲しいとのご要望がございましたので、お客様からの許可が頂けた案件のみ、当ブログで紹介していきます。
それでは、始めます、、、
この度、当店にいらっしゃった第一号は、N様のARTDOLL 148cm。
お客様より「同じような故障でお困りのドーラー様のために、修理の状況を公開しても良い」とのご了承を頂けましたので、不定期でアップロードしていきます。
先に結論を申しておきますと、お客様にご満足頂ける仕上がりとなり、喜んで頂けました^^
故障の状況
各部を確認させて頂きましたところ、以下の故障が見受けられました。
・股関節(両側)の骨折
・肘関節(両側)の緩み
まずは、お預かりしたドール全体のお写真です。
股関節部(右)の拡大写真
股関節部(左)の拡大写真
股関節部分については、お客様にて修理を試みた跡(切開して関節部分を接着 + 切開部を接着 & 縫合)が残っておりました。
「とても大切にされていたんだなぁ」と、お客様への感謝の思いの後、できる限り綺麗に直したいという気持ちが込み上げてきました。
縫合糸を外し、股関節の骨格を確認しますと、溶接部がポッキリと折れてしまっておりました。
こちらのボディは19kgという超軽量ボディのため、骨格に使われるパイプは薄肉のものを使っております。
そのため溶接が非常に難しく、入熱が少ないと母材と十分に溶け込まないし(→強度不足となる)、入熱が多いと薄肉のパイプに穴が開いてしまう、という職人の技量が試されるボディです。
こちらが工場から取り寄せた股関節周辺の骨格の写真。
赤い楕円部分が今回骨折していた箇所です。
修理の方針
思い浮かんだ修理の方針と、それらのリスクについてまとめてみました。
1. 折れた骨格を再度、溶接する
折れた部分を再溶接することを考えてみましたが、ドールの内部には可燃性の硬質ウレタンが使われているため、溶接の火花で火災となるリスクがあり、却下となりました。
不燃性の布を骨格の周りに敷き詰めて溶接するアイデアもありましたが、作業範囲が非常に狭いことと、火花がボディに絶対に当たらないようにできる自信はなかったので断念しました。
2.骨格をパイプで継ぐ方法
工場から一部の骨格を取り寄せて、継ぎ接ぎする方法です。イメージ図は以下をご参照ください。
外層パイプで骨格を外側から補強し、通しボルトで固定する方法です。
我ながらなかなか良いアイデアだと思ったのですが、骨折箇所を確認してみると、この外層パイプを挿入できる距離が全部で5cmもなく、ボルトで止めるための十分な距離を稼げないため断念。
また、後になって気づいたのですが、外層パイプと骨格の隙間を上手に埋めてやらないと、お客様が動かすときにガタつきが出るため、あまり良いアイデアではなかったようです。
ゴムシートを挿入したり、接着剤で埋める案もありますが、なんせ作業スペースが小さいので難しい。
3.股関節の骨格を全て交換する
最も避けたかった案ですが、これ以外、思い浮かばなかったので、今回はこの方法で修理することとなりました。
次回へ続く・・・。
当店のホームページへは、以下のロゴ↓ をクリックください。
サイトの高速化を行いましたので、ストレスなくご覧頂けます。