骨格の交換
この工程はとても暑い日だったこと + 苦労したこともあり、大変恐縮ではございますが写真はありません。
写真があっても、骨格を合わせてボルトを差し込むだけの地味な写真なので、あまりご参考にはならないかと思います。
どのような工程だったかと申しますと、
1. 交換用の骨格にガーゼを巻く(ガーゼの接着は、木工用ボンドを使用)
2. ガーゼを巻いた骨格をボディの中に入れる
3. 上半身の骨格、両股関節の骨格と接続する
4. 関節部に薄いビニール、ガーゼを巻き付ける
4. ボルトを締める
というものです。
とても単純な作業なのですが、3.の工程が大変でした。
特に股関節の接続は、もう一人のスタッフに片脚を持ってもらいながら、関節の合わせ位置を決めてスリーブとボルトを差し込むのですが、このスリーブの精度が想像以上に精密すぎて、なかなか骨格の穴に入って行きませんでした。
脚を持っているスタッフ、ボディを支えているスタッフ、それぞれが骨格の穴にスリーブを入れるための位置調整を行うのですが、お互いのわずかな力加減で骨格の穴がずれていくので、入っていきません。
3.の作業だけで格闘すること1時間ほど。
どうにかスリーブ・ボルトを3ヶ所ともに綺麗に挿入できました。
なお、骨格の動作に影響しますので、くれぐれもハンマーで叩き込むという乱暴なことはしないようにご注意ください。
閉じていく作業
皮膚を閉じる前に、骨格周辺の隙間に、硬質ウレタンフォームをしっかりと充填していきます。
今回使用したウレタンフォームは、近所のホームセンターで建築資材として売っていた¥1000ほどのものです。スプレー缶のようなもので、発射すると泡がモコモコと大きくなり、時間が経つと固まるというものです。
硬質ウレタンと骨格表面のガーゼは、ウレタンの自己接着でしっかりとくっつきます。発泡後にヘラなどを使ってウレタンを骨格の隙間に押し込み、表面を慣らしておけば十分接着されます。
皮膚を閉じる際にウレタンが少し溢れてきますが、ウエスなどでしっかりと除去してください。
皮膚の接着
皮膚の接着に使用したのは信越化学のKE-45というシリコンです。
緩んだ骨格の増し締めであれば切開範囲は数センチで済みますので、当店で販売している標準のメンテナンスキットをご使用頂ければ問題ないのですが、今回は皮膚が分厚いことと範囲がとても広いため、接着時に皮膚の隙間を充填して、皮膚の一部として弾力を持ってくれるように、KE-45を使いました。
ご参考ですが、KE-45とアクリル絵の具を混ぜることで、皮膚と似た色味のシリコンを作り出すことは可能です。切開部分を目立たないようにするのであれば、この方法をお試しください。
ただ、当店で色々と試してみたところ、アクリル絵の具を混ぜたシリコンは、そのままのシリコンに比べて硬くなりますので、今回のような広範囲の接着、接着後の弾力性を求める修理には向いてないと判断しました。
(配分に問題があるのかも知れません。ご存知の方がおられましたら、教えてください!)
接着後の固定
この作業をやったことがある方はご存じと思いますが、接着剤が固まるまで、ずーっと押さえていないと接着面がずれてしまうことがあります。
だいたい、いつも30分〜1時間ほど押さえています。
流石に今回は範囲が広すぎたため、写真のように梱包用のベルトで、ボディ全体を締めて固定しました。梱包用のベルトだけではボディに跡がついてしまいますので、ボディとベルトの間には柔らかい布を咬ませておきましょう。
写真のように細いベルトを使うと、締まり具合のバランスを細かく調整でき、作業がとても楽でした。
次回へ続く。。。
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